ディスプレイ・車載照明開発評価を効率化
─2D分光放射計 SR-5100で実現する新基準

スマホやTVなどのディスプレイや車載インジケータの開発現場では、設計通りの“明るさや色”を担保するために、輝度・色度・均一性といった視覚的要素の定量化が求められています。

しかし、一般的な色彩輝度計では輝度や色度の測定はできますが、測定値に問題があった場合に要因分析をすることができません。

光学評価の要因分析はネット検索しても実践的な情報が見つからないという声が多くあります。

『SR-5100』は要因分析という課題への具体的なソリューションを提供します。本記事では、研究開発から量産評価までの工程で同機がどのように活用されているかをご紹介します。

よくある開発現場の課題と解決事例

開発現場の課題は、そのまま研究開発部門が解決すべき技術評価上の課題でもあります。まずは現場で頻発する課題を整理し、どのような技術的要件が求められているのかを見てみましょう。

他部署・他拠点と測定基準が合わず、数値が合わない

従来は他部署や取引先と測定基準が合わず、数値が一致しないことがありました。

特に拠点や取引先ごとに異なる色彩輝度計を使用している場合、器差によって測定値が一致せず、開発スピードやグローバル展開の障害となっていました。

また、測定日時によるばらつきや、色の違和感を数値で説明できないという『定量化の壁』が問題になっていました。

「SR-5100」は器差が少なく、輝度・色度を高精度に測定できるため、部門間や取引先間でのスムーズなデータ共有を可能にします。

測定時間がかかる

スポットタイプ計測器では、メーターパネルなど測定ポイントが多い製品を評価するには1日かかる場合もありました。「SR-5100」では全面分光データを約数分で取得可能。測定効率が飛躍的に向上し、開発サイクル短縮に寄与します。

「SR-5100」は2次元測定方式により、複数ポイントをまとめて1回の測定でデータ取得が可能です。サンプルあたりの工数削減効果があります。

測定精度やデータ共有の課題は、単なる計測機器の性能だけでなく、評価基準の一貫性や再現性の問題にも関わっています。

次章では、こうした課題を前提に、研究開発部門が輝度計に求める本質的な条件を整理します。

研究開発部門が輝度計に求める条件とは?

このような評価基準の一貫性や再現性という現場課題を技術面から解決するため、、研究開発部門では輝度計にどのような性能を要求しているでしょうか。

カタログのスペック値通りの精度評価が可能であること

カタログスペック値は標準光源A(広いスペクトルを持つ定常光源)を用いた校正により保証しています。

フィルタ方式の色彩輝度計と分光方式の分光放射計ではカタログスペック値は同程度ですが、実際の測定対象は様々です。どのような測定対象、環境下でもカタログスペック通りの精度で評価できることが要求されているのです。

人の目の感度である等色関数に合わせたXYZ受光器を搭載したフィルタ方式の色彩輝度計ではXYZ受光器各々が単色受光器ではなく、ある範囲の波長域の感度をもった混色受光器であるためです。特に赤や青など単色光では測定誤差が生じやすくなります。。

しかし、分光放射計は波長ごとのエネルギーを測定し、等色関数を用いて輝度・色度を計算するため、多様な光源でも高精度に測定が可能です。

『視覚品質』という曖昧な指標の可視化

車載照明やディスプレイでは、人間が感じる違和感を定量化することが特に重要です。

「SR-5100」2D分光放射計は380~780nmを401枚の分光画像としてスペクトル分布を取得し、輝度・色度を算出します。
従来見落とされていた微細な色むらや輝度差を数値化し、”視覚品質”を可視化します。

研究現場で求められているのは、単に高精度な計測だけでなく、「視覚品質」という曖昧な概念を誰もが共有できる形で定量化することです。こうした要求に対して、実際にどのような計測アプローチが有効なのかを、次章で「SR-5100」を例に見ていきます。

「SR-5100」が研究開発部門に選ばれる理由

前章で示した要件を満たす輝度計として、SR-5100はどのような点で評価されているのでしょうか。ここでは、開発者の立場から見た選定理由を整理します。

“目で見たときの違和感”を数値化

従来のスポットタイプ分光放射計は、1点の輝度・色度・スペクトル分布を高精度に測定できますが、画面全体の明るさ分布など空間的な情報を得るのは困難でした。

一方、2D色彩輝度計は、画面全体の輝度・色度分布をマッピングでき、ムラや欠陥検出に優れますが、フィルタ方式のため光源スペクトルが複雑な場合は誤差が発生しやすいという課題があります。

「SR-5100」は、これらの長所を組み合わせた計測器です。画面全体の輝度・色度分布だけでなく、スペクトル分布をも高精度に測定できます。これにより、人間が感じる視感上のズレを定量化でき、光源や物体の特性を正確に評価可能です。

さらに、物体固有の分光特性や反射光評価、シミュレーション評価など幅広い応用に対応し、最大約500万ポイントもの分光評価を実現します。

一般的な色彩輝度計はXYZの3つの画像から輝度・色度を演算します。

 

「SR-5100」は、380~780nmの401枚の画像から輝度・色度を計算しているため、視覚上のズレを定量化できます。

5ポイントの分光スペクトルや380~780nm内のピーク波長からも差異が分析できます。

 

あとから測定状態および結果の見返しができ、要因分析が可能

従来の色彩輝度計では数値データしか残らず、後から状態確認ができませんでした。

「SR-5100」は数値データに加えて測定イメージも保存できるため、測定状態や結果を後から見返すことができ、分光データを問題解決や要因分析に活用できます。さらに、測定時のピント合わせ時のライブ画像のデータも保存しておくことができます。

測定イメージを画像として保存するため、測定エリア内であれば追加された測定ポイントを選択するだけでデータ取得が可能。測定ポイントが後から追加になっても、再測定せずにデータ取得可能です。

SR-5100では、保存した画像データを使用した四則演算や特定波長画像、分光データのスペクトル差異などが確認でき、条件差の比較・不具合要因の特定や分析に役立つ分析結果を得られます。

従来の測定では設計と実機のズレを詳細に数値化できませんが、SR-5100は“どこで・どの波長成分がズレているか”を可視化でき、開発サイクルを大幅に短縮できます。

輝度・色度の精度保証を実現

「SR-5100」の校正には光のトレーサビリティ(JCSS)で国家標準にトレーサブルな校正を受けた光源を使用し、高精度な輝度・色度の精度保証を実現しました。

トレーサビリティの有無は計測の信頼性・再現性、製品品質保証の正当性に大きく影響します。

数値だけでは捉えきれなかった“見た目の違和感”を可視化することで、評価の曖昧さが減り、設計・品質保証プロセス全体の効率化につながります。

測定データの一貫性・再現性の確保、そして多様な光源・環境下でもカタログスペック通りの精度を発揮する要件を同時に満たすことで、研究開発から量産・品質保証までを一気通貫で支える測定基盤が整います。

次に、こうした特性がどのような分野で実際に活用されているのか、具体的な導入事例を紹介します。

こんな製品開発で活躍しています|導入事例と応用シーン

OLEDディスプレイ:輝度・色度・分光スペクトル・均一性評価

OLEDディスプレイの開発現場では、輝度や色度のわずかなばらつきが表示品質に大きく影響するものの、それらを客観的に示す指標が乏しく、設計・品質評価にばらつきが生じていました。

SR-5100の導入により、分光スペクトルを含む詳細な輝度・色度分布を1回の測定で可視化。視覚的な均一性を定量的に評価可能となり、設計部門と品質管理部門での共通指標として活用されています。

車載インジケータ/車載照明:均一性評価、太陽光下の見え方評価、色ムラ定量化

車載インジケータやイルミネーション照明の開発では、光のムラや視認性のばらつきが設計上の課題でした。特に太陽光下での見え方や色ムラは主観に頼る評価になりやすく、社内基準の統一が困難でした。

SR-5100の導入により、照明の均一性や色ムラを分光レベルで定量化可能に。太陽光を模した照明条件下でも安定して測定できるため、昼夜の視認性評価や品質基準の明確化に貢献しています。

AR/VRディスプレイ:マイクロOLED・LCOSの色再現性検証、色ムラ定量化

AR/VR用途のマイクロOLEDやLCOSディスプレイは、画素サイズが極めて微細であるため、わずかな色ムラや発色の違いが視認性に大きく影響します。しかし、従来の測定器では視野角や空間分解能の制約から、評価精度が不十分でした。

SR-5100は、微細表示エリアでも高分解能かつ視感応度補正済の測定が可能で、色再現性の検証や色ムラの定量化を高精度に実現。開発初期からの品質改善と社内基準の明確化を支援します。

プロジェクタ/特殊照明:反射輝度評価、演色性試験

プロジェクタや特殊照明の開発では、壁面やスクリーンなどの反射輝度や、照明下での色の見え方(演色性)を正確に評価することが求められます。しかし、従来機では反射光のスペクトル特性や照度分布を定量的に取得するのが難しく、目視や主観評価に頼る場面も多くありました。

SR-5100は、輝度・色度・分光スペクトルを同時測定できるため、反射面の輝度評価や演色性試験を高精度かつ高い再現性で実施可能です。

ディスプレイや車載分野にとどまらず、環境やコスメ、絵画の顔料識別、肌の赤みや黄ばみなどの皮膚の状態評価など医療でも使用されております。

まとめ|次世代の「視覚品質評価」を支える測定基盤へ

「視覚品質」を数値で共有できることは、もはや研究開発だけでなく、製造・品質保証を含むあらゆる工程で不可欠なテーマとなっています。

「視覚品質」を数値化する時代の到来により、研究開発から量産までの評価プロセスにおいて、SR-5100は新たな基準を提供します。

評価者が異なっても波長単位での精密な分光データにて同一結果を得られる再現性の高さにより、評価基準の共通化と検証の効率化を実現します。

技術者が求める精度、効率、信頼性を兼ね備えた次世代の評価ソリューションと言えます。SR-5100の詳しい製品仕様はこちらを一度ご確認ください。

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